失速しないスコッドは、どう鍛えるのか
教科書的な答えは「鍛えない」です。プレシーズンにしっかり追い込んで、あとはシーズンを通して落としていく。土曜日に脚を残すためです。走行量はプレシーズンの60〜70パーセントまで下げる。脚を温存する。プロのプログラムはたいてい、この考え方の派生形で回っています。
昨シーズン我々が取った答えは、その逆でした。プレシーズンのボリュームをシーズン中も保つ。週に1日、木曜日だけは、プレシーズンで走ったどのセッションよりも強く押し込む。すべてのドリルをマッチペースに対してタギングし、スコッドが週ごとに何を積み上げたかを分かるようにする。
近鉄はラスト20分を1試合あたり純得点プラス8.1で終え、リーグ最大の数字になりました。この記事は、その数字の裏にあるトレーニングの1年、そのランニング側です。コンタクトとジムは別の記事で扱います。
年間の曲線
チーム平均の週間走行距離、クラブ週2から43まで。プレシーズン、インシーズン、シーズン終盤、オフシーズン。プレシーズンからインシーズンへの落ち込みは、教科書的な処方より浅くなっています。プロのプログラムはたいてい、シーズンが始まると週間ボリュームをプレシーズンの60〜70パーセントまで落とします。近鉄のインシーズンのスコッド平均は、プレシーズンの85パーセントでした。これは意図的です。1年を通してしっかり鍛え、試合の出力を保つことに重点を置きました。
実数で見ると、プレシーズンは稼働選手1人あたり週およそ17,700メートル。インシーズンの平均はおよそ15,100メートルです。落ち込みは15パーセントで、「試合のある週はリカバリー週」というモデルが予測する30〜40パーセントではありません。この平均はポジショングループごとに大きく割れていて、ハーフ団が上、タイトファイブが下に来ます。試合中のランニング要求が同じように割れているからです。この内訳には下で別の節を立てます。
インシーズンのピーク週は、プレシーズンの最大週にほぼメートル単位で並びました。試合週はリカバリー週ではなく、質に寄せた維持ボリュームの週でした。
この線は、放っておいて保たれたわけではありません。しかも、ほぼ即座に揺れました。第9週、シーズン本番の2週目は、インシーズン平均の60パーセントを下回るところまで落ちています。計画的なディロードだったと言いたいところです。一部は後手の対応でした。第8週から第9週あたりのメディカルシートには、その年最初の軟部組織系の傷害がまとまって出ていて、その一部は引き下げより前から出ています。
公式戦が始まって2週で、ボリュームを保つことを前提に組んだプログラムが、そのボリュームを削っていました。その2週間、私は教科書のほうに理があるのではないかと考えていました。ボリュームは第11週には16,000メートルを超えるところまで戻り、そこから保たれています。ディロードの話は1段落で運べるほどきれいではありません。傷害についての記事で拾います。
高強度の有酸素能力とリピーテッド・エフォート能力を試合終盤の時間帯まで保つには、その能力をシーズン中も鍛え続ける必要があります。インシーズンの85%という維持率は、その考え方のデータ版です。
1週間の形
年間の曲線は、1週間の中身を隠してしまいます。スケジュールは試合を軸に回していました。土曜日の試合なら水曜と日曜がオフ。日曜日の試合なら木曜と翌月曜がオフです。
プレシーズンにリーグ戦はありませんが、原則は同じです。標準的な週は土曜と日曜がオフ。週末には練習試合やスクリメージ、リハビリのセッションが定期的に入ります。2024-25のクラブ年度では、インシーズンの11試合のうち10試合が土曜開催でした。プレシーズンと比べる対象は、土曜試合の通常週というサイクルになります。
プレシーズンは月・火・木・金に練習し、水・土・日はオフでした。週4回の全体練習に加えて、10月からの練習試合ブロックの期間は土曜に試合かスクリメージが定期的に入ります。火曜日がボリュームのピークで、マッチペースをわずかに超えていました。金曜日が2つ目のきつい日で、ちょうどマッチペース。月曜と木曜はその間を埋める補助日です。大きい日が2日、中くらいの日が2日、オフが3日。平日を5日使わずにベースのボリュームを積む形です。日ごとの数字はFigure 02にあります。
この週の形は、2年ほどかけて試してきました。これより前は5日制と6日制を回していて、紙の上ではそちらのほうがメートルは積み上がります。ピッチの上ではそうなりませんでした。毎日セッションがあると、スコッドがきちんと追い込める日が1日もなくなります。強度が週全体で平坦になり、疲労がじわじわ溜まっていきました。傷害リストがそれに続きます。5日目が足したメートルは、きつい日が失ったメートルより安いものでした。生き残ったのは4日制です。オフの日を守り、練習する日は試合の負荷を超えて押し込む。
インシーズンでは狙いを変えました。月曜日は整理の日で、ビデオレビューと軽いセッションで力を抜きます。火曜日が大きい練習日になりました。火曜日はおおよそ試合と同じ負荷を、より短い時間で狙います。タグの上ではマッチペースを大きく超える形になります。この日はコンタクト負荷が最も高い日でもありました。木曜日はゲームスピードの148パーセントで研ぎ澄ます日になり、年間で最も強度の高い1日です。ただし選手を疲れさせないよう、ボリュームは調整しました。短く、鋭く。
金曜日はキャプテンズラン(試合前の軽い確認)まで落とします。土曜日が試合。日曜日はリカバリーとレビュー、メディカルです。練習4日と試合1つ。木曜日は、プレシーズンで走ったどのセッションよりも重く着地しました。火曜と木曜を離したのは、どちらも神経系への負担が大きいからです。木曜日は、土曜日から回復できるだけ離れていて、なおかつ鋭さを保てるだけ近い位置にあります。
インシーズンのブロックはプレシーズンのボリュームの85パーセントを保ちましたが、そのボリュームを週の中で均等にならしたわけではありません。週を練習4日と試合1つまで絞り込み、そのうちの1日を、プレシーズンが求めたどの水準よりも押し上げました。質は温存ではなく、集中させています。
フォワードは別のプログラムをやっていたのか
スコッド平均の数字は、役に立つ細部を隠しています。ポジショングループが違えば走る距離も積み上がる仕事も違うので、「ボリュームを保てたか」という問いは、実際にはグループごとに4つの問いです。ラスト20分のパターンがコンディショニングに依存しているなら、バックスだけでなく全ポジションに出ているはずです。プロップもラスト20分にピッチに立っています。
4つのグループすべてが、インシーズンのブロックを通してプレシーズンのボリュームの80〜91パーセントを維持しました。絶対的な距離ではハーフ団とアウトサイドバックスが上に来ます。想定どおりです。タイトファイブは絶対値では最も走りませんが、維持率はスコッドの他のグループと同水準です。ボリュームで見る限り、フォワードは別のプログラムをやっていたわけではありません。同じプログラムを、自分たちの試合要求に合わせてスケールしたものをやっていました。
ハイスピードランニングの維持率は、総走行距離の維持率よりわずかに低くなっています。スピード特異的な仕事はプレシーズンでピークを打ち、シーズン中は維持のバンドに落ち着きます。想定どおりのパターンで、第4週ではなく第30週にフィジカルが仕上がっていることが目標なら、向きとしては正しいです。
4つのグループはいずれも同じバンドで維持しています。「シーズンを通して仕事を保てたか」へのボリューム面での答えは、全ポジションで「はい」です。
クロニック・ベースライン
週単位の見方はノイズが多くなります。ディロード週が1つあれば線は下に引かれ、きつい週があれば上に引かれ、そのばらつきがシグナルを埋めてしまいます。より確かな読み方はクロニック・ベースライン、つまり直近数週間にわたる選手の負荷の移動平均です。
これを追いかけているチームの多くは4週のクロニックを使います。同じデータを使った姉妹の傷害予測の作業では、12週のクロニックだと約63%の確率で該当する選手を当てられます。教科書的な4週版は57%です。プロットするなら12週のほうが意味のある数字で、各選手がその週に持ち込んだ負荷を追えます。傷害の話は別の記事にあります。
クロニックの線はプレシーズンを通して積み上がり、シーズン中盤でピークを打ち、そのあとは狭いバンドの中に収まります。インシーズンの23週のうち20週がピークの90パーセント以上を保ち、シーズン終盤のブロックもそこからほとんど落ちていません。
スコッドが練習をやめれば、クロニックの線は落ちます。練習している間は、落ちませんでした。ラスト20分の数字は、この種のクロニック・プロファイルと矛盾しません。
セッションをマッチペースに対してタギングする
スコッド平均も週の形も、試合中のランニングが実際どういうものかというベンチマークがあって初めて意味を持ちます。それがなければ、「火曜日に7,684メートル走った」はただの数字です。
1年を通して使ったベンチマークは、ボールインプレー時間1分あたり110メートルというゲームスピードと、対になる強度ベンチマーク1.1です。私が基準にしている標準的なBIPの値です。24/25のディビジョン2でのスコッドのフルマッチm/minは、フルクロックで約70 m/minでした。110というBIPの数字は、ボールが実際にインプレーだった時間中のランニング率で、ストップの時間を除いたものです。全体練習のすべて、そしてその中のすべてのドリルを、この110 m/minのスピードと1.1の強度に対する割合としてタギングしました。Figure 02の週の形は、そのタグの上に組まれています。
プレシーズンの火曜日はゲームスピードの110パーセント、金曜日は102パーセントに位置していました。どちらもマッチペースより上です。インシーズンでは狙いが動きます。火曜日は126パーセント、木曜日は148パーセントになりました。どちらもマッチペースを大きく超えていて、どちらも意図的です。考え方はこうです。毎週木曜日にゲームスピードの148パーセントをリハーサルしていれば、試合の100パーセントは最大下に感じられる。80分は、身体がすでにもっと高い強度で見たことのあるものになります。
プログラムの中で、他のどこかに行っても最初に組み直すのはこのタギングです。ラスト20分の数字は、その下流にあるテストです。
その1日はどんな中身だったか
マッチペースの148パーセントの木曜日は、80分間ずっと全力で走り続けるわけではありません。それぞれに固有の強度タグを持つドリルブロックの連なりで、最も重いブロックが、スコッドが温まっていてまだ空になっていないところに来るように並べてあります。
In-season
入りはスキルからです。疲れた状態のハンドリングは、フレッシュな状態のハンドリングとはまったくの別物で、選手には疲れた側のレップスが必要でした。ただしそれは、きれいな側が固まってからの話です。だからスキルブロックは早い時間に置きます。テンポは制御された状態。判断のレップスとセットピースのタッチを、ゲームスピードの約95パーセントで。そこからアンストラクチャードのアタックに移ります。ボールはオープン、コールされたストラクチャーはなし。選手が読んで走る。このブロックのタギングは、たいてい135パーセントあたりになります。ボールが止まらず、隠れられるホイッスルもないからです。
一番きついブロックは、人数を欠いたディフェンスでした。14対15、ディフェンス側が1人少ない状態で、アタック側にはラインブレイクを見つけてカバーを走らせるよう指示を出します。1人足りないということは、誰かが常にプレーより1フェーズ後ろにいて、戻るためにスプリントしているということです。170パーセント前後のBIPはここから出てきますし、148パーセントというセッション平均もここに支えられています。
考え方は単純です。毎週木曜日に、生きたディフェンス負荷の下でマッチペースを超えて動くことをリハーサルしていれば、実際の試合の100パーセントはリハーサルより楽に感じられる。締めはフルストラクチャーの短いゲームシナリオのブロックで質を再調整し、そこから心拍を落としていきます。
この全体の下にある滑りやすい坂は、ラグビーとしての関連性を保てるかどうかです。純粋なコンディショニングのサーキットで強度タグを追いかけて、ボールを1つも使わずにGPS上で170パーセントを出すのは簡単です。それは疲れ切った状態で判断を下す訓練にはならず、ただ疲れ切る訓練になります。私が基準にしていた狙いはこうです。ドリルはラグビーとして認識できる形に保ち、1人足りないという構造上の制約にランニング率を押し上げさせる。ミスがきちんと罰せられるだけの質は保たなければいけません。質が落ちてセッションがぐちゃぐちゃになれば、その練習は週の中の居場所を稼げなくなります。
練習が試合より重くなることはあったのか
1年を通して、最も重い練習の出力は、最も重い試合の出力より上にありました。
24/25のディビジョン2で、近鉄のスターターの単一試合として最大だったのは、第9節の釜石シーウェイブス戦でのトム・ヘンドリクソンの93分です。単一セッションとして最大の練習は、プレシーズン第5週の金曜日のもので、その試合よりおよそ40パーセント多いメートルを、1人の選手の脚に入れました。同じ形はスコッドのレベルでも成り立ちます。年間で最もきつかった練習日、プレシーズン第4週の木曜日は、リーグの平均的な試合より選手1人あたりおよそ50パーセント多い距離を平均しました。
週で見ても積み上がり方は同じです。プレシーズンの1週間で27,000メートルを超えた選手が5人。年間で最大のスコッド平均週はプレシーズン第2週で、インシーズン第16週がそこから33メートルの差まで迫っています。
試合中のランニング率も同じ話をします。スコッドはフルクロックの試合時間1分あたり70メートルを平均していて、シーズンを通した個人のフルマッチ最高値は、これもヘンドリクソンで、第13節のNECグリーンロケッツ東葛戦の89です。これらの試合の数字は、国際的な基準で見れば、それ自体がエリートというわけではありません。要点は、練習との差のほうです。すべてのスターターが、シーズンで最もきつかった試合が求めた以上のメートルとスピードを脚に入れる練習日を経験しています。
来シーズン変えること
維持率を85から90パーセントへ押し上げる。85%の維持率が今シーズンのラスト20分の数字を生んだのなら、聞く価値のある問いは、90%ならもっと出るのかどうかです。コストは小さく、測り方も単純です。ラスト20分の純得点が来年上がるか、上がらないか。どちらの答えも役に立ちます。
インシーズンの週の形は保つ。木曜日を148%に置いた火曜・木曜のボリュームと質の切り分けは、このデータセットの中で試合終盤に最も効いている要素に見えます。これは維持して、ボリュームをより多くの日にならすことには抵抗します。
マッチペースのタギングを締める。110 m/minというBIPのベンチマークは、ポジションを通しても局面を通しても単一の固定値です。もっと誠実な版なら、ポジション別の試合m/minに対してタギングします。ハーフ団とアウトサイドバックスは高いほう、タイトファイブは低いほうに置いて、割合もそれに合わせて調整する。練習は同じで、ラベルがより正確になります。
この記事から分からないこと
これは1クラブの1シーズンです。ベンチマークにできるリーグ平均のピリオダイゼーションのデータは持っていませんし、この大きさを安定したものとして扱う前に、最低でもあと2シーズンは見たいところです。110 m/minというBIPのベンチマークも、スコッド全体で単一の数字です。ポジション別の版のほうが誠実で、同じデータセットからそれは組めます。
擁護できるのは、記述的な絵のほうです。近鉄の2025年のプログラムは、維持率が高く、インシーズンに重心を置いたプログラムで、セッションごとにマッチペースのベンチマークに対してタギングされていました。前の記事で報告したラスト20分の結果と並走していたものです。
このリーグでは8クラブのうち5クラブがラスト20分に失速しました。近鉄はしませんでした。トレーニングがその理由なのかどうかは、1シーズンからは証明できません。ただ、これがその1年を、起きたとおりに並べたものです。
次回は、同じ1年のコンタクトとジムの側です。